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理学・作業療法士、言語聴覚士の方がALSの方のリハビリを実施する場合には神経難病を専門に見ている病院で働いているか、訪問リハビリに従事されている方がほとんどだと思います。急性期の病院や、回復期の病院、クリニックで働いている方の中にはALSの方を見たことが無い方も多いと思います。私も回復期病棟で働いている時にALSの方のリハビリをしたことは無く、訪問に出てから初めてリハビリをする機会がありました。

前頭側頭型認知症

私が学生の時(14年前位)ALSの方は認知機能の低下は無いと習いました。しかし、記憶障害や見当識障害は起こりにくいが、それ以外で症状が出る方がいらっしゃいます。

ALSを多く見ている療法士の方であれば知ってらっしゃる方も多いでしょうが、ALSで起こる高次脳機能障害として、前頭側頭型認知症があります。

前頭側頭型認知症とは

・人格変化

・社会性の低下

・こだわりが強くなる

と言ったものがあります。

 

具体的には

・急に怒りやすくなった

・万引きをする

・介助方法に強いこだわりがある

・布団の位置などにも細かくこだわる

などです。

こういった高次脳機能障害を昔は「ALS気質」なんて言葉で片づけられていたのでしょう。

しかし、気質や性格の問題であると捉えるのは非常に危険です。

介助をする家族や、関わるヘルパーさんにとっては、これらの高次脳機能障害を「本人の性格からくるもの」と捉えてしましい、患者さんのことを憎んでしまったり、寄り添う気持ちがなくなってしまう可能性があります。

 

病気だと捉えることで、家族や関わる人が少しでもストレスを抱えずに接することができるのではないかと考えます。

 

ALSの方への対応

病気の起こしている性格の変化に真っ向から立ち向かっても失敗することが多いです。本来、医療や介護に携わるものとして、十分に説明してから同意をもらうというのが当たり前ですが、ALSの方ではそれが上手くいかないことが多々あります。

例えば、

療法士「リスクが高くトイレでの排泄は難しいのでポータブルトイレを利用しましょう」

と伝えても

ALSの方「リスクがあっても構わない。死んでも良いからトイレに連れて行って欲しい」

と言う方もいらっしゃいます。

「ヘルパーの介助量が大変で」と伝えると、ヘルパーさんへの言動が厳しくなることもあります。

 

私が良いと思う対応は、事業所の責任者が出向き

「私の事業所では、座位が一人で取れない方に対してトイレ誘導は行っていません。ポータブルトイレであれば対応可能です。」

と伝えるのも一つの方法であると思います。

そこで、別の事業所を探すのも一つですが、本当にリスクがあるようでしたら、ケアマネさんや別の事業所とも協力して同様の意見を伝えることも必要です。どの疾患の方に対しても一つの部署や、一つの事業所だけで対応するのではなく、他部署、他事業所と連携することが大切です。

 

本来であれば、十分な説明が必要でそれを理解していただくことが大切ではありますが、高次脳機能障害としてのこだわりが強い方には上記のような説明をすることも一つの方法であると考えます。

私自身もALSの方だけでなく、病識の低い方、病気の理解が難しい家族様との対応に関しては日々勉強中です。