ピンとこない人もいるかも知れませんが、リハビリで使用する医療保険や介護保険は国民健康保険団体連合会(国保連)や、社会保険診療報酬支払い基金(社保)に請求して、審査を受けて初めて支払されます。私もあまりその辺のこと詳しく知らないので調べてみました。

国保連と社保

まず、基本的な話として医療保険には国民健康保険や、後期高齢者医療、協会けんぽ、組合などがあります。で、国民健康保険と後期高齢者医療を国保連が審査支払しています。協会けんぽ、組合などを社保が審査支払いしています。

国民健康保険や後期高齢者医療の保険者は市長村です。介護保険の保険者も市町村です。介護保険開始時にどこで審査支払をするか決める際に、同じ保険者の審査支払をしている国保連にその役割を委託することに決まったようです。

 

同じような審査支払する機関が国保連、社保と分かれているのは非効率ではないのか?という意見もあり2009年頃の民主党政権時代の事業仕訳で統合する話も出たようですが、2016年現在ではその予定は全くの未定です。ちなみに、大阪の国保連は谷町四丁目の駅すぐ近く、社保は梅田ロフト近くにあります。両施設共に非常に好立地で建物も大きく維持費は多くかかっていると思われます。

 

医療保険や介護保険の審査支払を行っている国保連や社保ですが、不正請求や誤った請求を見逃したとしても、国保連や社保には直接的な被害はないので『十分な審査が行えているのか?』という疑問が浮かびます。TPPや「官から民へ」という流れの中で、保険制度の審査も今後民間の参入や保険者による直接審査などが検討されているようです。

 

医療保険と介護保険の指導・監査の違い

医療保険より介護保険の「指導・監査」の部分が介護保険の方が厳しいという気がします。実際、介護保険の審査支払は問題なく通ったものが、指導・監査時に不適切な請求であるとして請求を自主的に返戻したという話はよく聞きます。恥ずかしいことですが、私の働いている事業所でもありました。

 

大阪府での介護保険の指導・監査は平成23年10月より徐々に大阪府から市町村へと権限が移譲されました。それまでの大阪府が行っていた指導・監査に比べ市町村の違いはあれど「厳しくなった」と感じる事業所が多いようです。保険者である市町村が直接的に指導・監査を行う事でより細かな目で見る事が出来るようになったと思われます。財源の多くが、税金や保険料である保険制度では、不正請求などを防ぐためにもこういった細やかな機関があるのは当然のことかと思います。

 

医療保険の指導・監査は各地方の厚生局や都道府県が行っています。医療保険の保険者は、市町村、組合、協会けんぽなど様々ですので、現在の仕組みの中では保険者がそれぞれ直接的に指導・監査を行うのは難しいです。医療保険の財源を管理しているという意味では、厚生局も国の機関なので直接的に財源と管理者が一致していることにはなります。しかし、厚生局は厚生省、財源管理は財務省と省もまたぐことになってしまいます。これでは、介護保険のようなきめ細やかな指導・監査ができないのは難しいのではないでしょうか。

 

審査支払機関や指導監査機関が民営化されたら何がかわる?

現在審査支払機関、指導監査機関は法律によって民間の参入ができる状態にありません。しかし、TPPへの参加や、財政見直しの観点からも民間の参入の可能性は否定できません。

 

例えば介護保険の審査支払機関が民営化されれば、雇い主は当然保険者である市町村ということになります。いくつかの民間事業者の間では価格やサービス内容の競争が始まるでしょう。保険者にとって、民間事業の評価の一つとして「不要な保険支払額の削減」が求められることになります。

 

不要な保険支払というと「不正請求」や「誤った請求」が思いつくかもしれません。しかし、中には国からの通達文の「解釈の違い」によって不要である。と定められるケースがあります。また、通達文の中にも最終的には保険者である市町村に判断を委ねるようなものもあります。実際、訪問看護ステーションからのリハビリの提供も「解釈の違い」によって提供が困難な市町村があると聞いています。

 

この解釈の違いによって不利益を受けるのは介護保険事業者だけでなく、利用者一人一人でもあります。訪問看護ステーションからのリハビリが提供できない市町村では、在宅でのリハビリは病院などからの訪問リハビリだけで十分に行えていないのが実情です。審査支払機関や指導監査機関が民営化すると、解釈はより「保険料を支払わなくていい解釈」に変わっていくことが考えられます。そしてそれは利用者である国民一人一人の不利益にもなる可能性があります。指導監査においても同じようなことが考えられるのではないでしょうか。

 

今回は療法士のみなさんが普段興味のあまりない話を書いて見ました。民営化は私の想像の話ですが、国や自治体は審査支払機関などの将来について様々な可能性を検討しています。保険点数でご飯を食べている限り、私たち療法士も国の仕組みをもっと知って、悪い方向に進まないように注視していくことが大切だと思います。